異端者のためのラグジュアリー ― 折見健太のファッションブランド「ORIMI(オリミ)」の魅力と歴史を徹底解説【2025年最新】
- ABSURD公式
- 7月11日
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折見健太氏が手がけるファッションブランド「ORIMI(オリミ)」は、2020年末に東京で誕生した新鋭ブランドです。ブランドの魅力や特異性、立ち上げの経緯、そして現代的なクリエイションへと続く歴史について、たっぷりご紹介します。
ORIMIとは──ブランド誕生の背景とコンセプト
折見氏は広島県出身。18歳からヴィンテージバイヤーとしてファッション業界に飛び込み、都内2店舗のアパレルストア立ち上げや運営、商品企画、バイイングなど多岐にわたる経験を積んできました。そして2018年、自身のセレクトショップ「THE ELEPHANT(ジ エレファント)」を東京・原宿でオープン。バイヤー、ショップオーナーとしての眼を活かしながら、10年以上にわたる業界経験をバックボーンに2020年、ついに自身のブランドORIMIを立ち上げました。
ブランドコンセプトは、「Superfine garment for all the outsiders」(すべて異端者のための極上の洋服)。“普通”や“マス”に収まらない感性を大切にしつつ、本質的な心地よさと美学を追求するラグジュアリーベーシックウェアを志向しています。
ORIMIのクリエイションの特徴
1. 異端者と都市性──デザインに込められたメッセージ
2025年春夏コレクション初のランウェイショーでは、「東京の都市性とそこに潜むいびつさ、疎外感」をテーマとし、都市に生きる不完全な人間像を無機質なモノトーンや質感で描きました。今の東京や原宿・渋谷など、2000年代から現在のカルチャーを咀嚼し、モダンにアップデートしたコレクションとなっています。
デザインの根底には、社会や都市に漂う抑圧や圧力といった現代的な感覚
――「均質性の中で失われやすい個の表現」――
への問いかけや反骨精神が息づいています。
2. 素材へのこだわりとユニークな加工技術
ORIMIはオリジナルの生地開発にも積極的。尾州産地(国内有数のウール生地産地)で特注したラメ混じりの上質ウールなど、毎シーズン独自の素材を使用。アメリカンヴィンテージの再構築や大胆なリメイクも得意で、たとえばウエスト40インチ超のビッグデニムを折り畳みベルトで締め上げるなど、従来のシルエット感を覆すトライアルも注目されます。
また、人工的なエイジング加工や手仕事も駆使し、クリーンさとカオスが交錯する独自の雰囲気を生み出しています。
3. 実用性とエモーションの共存
ラグジュアリーかつデイリーに使えることを意識して設計されているのもORIMIの大きな魅力です。例えば、「RIPPED OFF HOODIE」や「SPARCLE CARDIGAN」など毎シーズン定番化するプロダクトには、抜群の着心地や細かいディテールが施されています。派手さだけでなく、どこか“着る人”の個性を引き出す余白も持ち合わせています。
デザイナー 折見健太の歩みと哲学
折見氏自身は、早くから現場の仕事に入り、ショップでの目利きやバイイング、商品構成、店舗運営まで一貫して現場感覚で経験を重ねてきました。大学時代のアルバイトから始まり、卒業後は新規店舗の立ち上げや経営に携わり、THE ELEPHANT開業で「自分らしさ」と正面から向き合ったと語っています。
ショップ時代からリメイクや一点物の洋服が持つ熱量・ストーリーに魅了され、「大量生産品とは異なる“スペシャリティ”」をORIMIでも目指しています。また、クリエイションの根幹には、「仲間と共に作る」コミュニティ的なマインドや、日本の工場・クリエイティブチームへの厚い信頼と感謝も込められています。
展開店舗とコミュニティ
ORIMIはTHE ELEPHANT(東京・大阪)や韓国・ソウルの10 Corso Como Seoulなど国内外の限られたショップでのみ取り扱われ、ブランド独自の世界観を共有できる空間づくりも大切にしています。
THE ELEPHANTは原宿らしい多種多様な個性が集まる“玩具箱”をイメージして運営され、来店者同士やスタッフ間の交流・コミュニティ感も居心地の良さの源となっています。
コレクションの進化と代表的アイテム
2021年春夏に初展示会、2024年秋冬にはルック撮影形式でコレクションを展開。2025SSコレクションで初のランウェイショーを開催し、現在進行形でファッション業界から大きな注目を浴びています。
代表的なアイテムとしては、
ラメ糸混ウールのアウターやカーディガン
オーバーサイズ・再構築系のデニムパンツ
シグネチャーとなったフェイクレザーの短丈ジャケット
ミニマルデザインのシャツやカットソー
などが挙げられます。いずれも“着る人の個性を引き出す”存在感が共通しています。
ファッションシーンへの影響と今後
ORIMIは、「いまの東京」を象徴する存在でありつつ、常に新しい表現や可能性を模索する挑戦者でもあります。東京カルチャーやストリートの“憧憬”と、新しいファッションの創造への意欲。その狭間で生まれる等身大のクリエイションは、日本だけでなくアジアからも熱い視線を集めています。
今後もチームやコミュニティとの連携を大切にしつつ、規模も拡大し、より精度の高い表現を追求していくと語っています。ファッションに情熱を捧げ続ける折見健太とORIMIの「進化と探究」は、ここからがまさに本番といえるでしょう。
まとめ
ORIMIは、折見氏の個性と経験が凝縮された“異端者のためのラグジュアリー”。素材や加工に手間をかけ、本質を追求する姿勢と、都市的なシュールさ・自由さが見事に調和しています。シーズンごとに深化するコレクション、着る人をワンランク上の“自分らしさ”へと誘う独創性、コミュニティに支えられたブランド運営。どこを切り取ってもここにしかない価値が詰まっている、現代日本を代表するファッションブランドのひとつです。
今後のORIMIにも、ますます注目が集まります。